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相続タイムズ 第10号

「ゆいごん?」 「いごん?」

 

 

これまで何度も「遺言」という文字をこの相続タイムズの中で使ってきましたが、皆さんはこの文字を見た時に「ゆいごん」と読むでしょうか、それとも「いごん」と読むでしょうか。
 
 よく弁護士などの法律の専門家は「いごん」と読み、俗には「ゆいごん」と読まれている、と言われます。
 
 
 そう言われると、「いごん」のほうが、「プロっぽい」感じがするかもしれませんし、そういう人たちが使っているのだから、なんとなく正しいような気もしてきます。
 
 似たような扱いを受けている言葉として「競売」があります。
これも正しくは「けいばい」で俗に「きょうばい」と読まれている、と言われています。(「借家」について「しゃっか」と読むか「しゃくや」と読むかも同様の違いがあります)
 

 これらについて、つまらない結論を先に言ってしまうと、どちらも正しいということになります。

 
漢和辞典によると漢字の読みとしても、「遺」にも「競」にもそれぞれ二つの読み方が登録されていますし、「遺」については、「ゆい」という読み方のほうが、「い」という読み方よりも先に日本に伝わってきたということも書いてありました。
 
 
 どこをどう調べても、一方が正しく、一方は間違っているということはありませんでした。

 話は少し逸れますが、「私」という漢字については、つい先日常用漢字の読み方として「わたし」が登録されて「わたくし」でも「わたし」でも良くなったのは、ご存知の方も多いと思います。

以前であれば「わたし」と読む人がいれば、それは間違いとはっきり言えたのでしょうが、制度が変わったことによって、今となってはこれもどちらも正しいということになっています。

 ではどちらも正しいのであれば、どうするか。私だったらより分かってもらえるほうを選択します。
 
 つまり初めて遺言書に触れる方に対して、「いごんしょ」と言うのと「ゆいごんしょ」と言うのでは、どちらがすんなりと受け入れてもらえるかを考える、ということです。
 
これは理解をしてもらえるかということ以上に、話の入り口でつまずくと、その後のコミュニケーションに支障をきたすという経験をしたことがあるためです。
 もちろん逆に「それは正しくは『いごんしょ』だよ」というご指摘を受けることもあります。
 
そのときには合わせるようにしていますが、それでも他の機会には「ゆいごんしょ」と読むようにしています。
 このような読み方の問題は、この仕事をしているとほかにも色々出てきます。
 
 「借入金」・・・「しゃくにゅうきん」
 「続柄」・・・「ぞくがら」
 「突合」・・・「とつごう」等々
 いずれにしても、相手に伝わるかどうかが一番大事だと思っています。